キョンによるネオアンプレイ日記


「なんだ、大して似てないじゃないか」
目的の人物が出てきて喋った途端、俺は思わずそう呟いてしまった。
古泉に似ていると言われれば似ている気もするが、あまりピンとこない。古泉の声はもっと甘い感じがする。こちらの古泉(仮)は、どちらかというと深い声だ。
「これじゃあ、ハルヒが満足できないかもしれんなあ」
しかし、最後までやらないと確実にやり直しをさせられるに決まっているのだ。こんな面倒なことは、とっとと終わらせるに限る。
さくさくと進めていくうちに、古泉(仮)の素性が明らかになってきた。
不思議能力が確認されたことによって、幼い頃から親元を離されて、ある組織に入らされていたらしい……。
ったく。なんだか誰かさんを思い出させてくれる設定だな。この古泉(仮)は。
なんだか、本物の古泉のことを思い出されてきて、俺は段々、気分が重くなってきた。気分転換に、コーヒーでも飲むか。
カレー皿を片付けるついでにインスタントコーヒーを煎れて、プレイ再開。
とりあえず、だるい戦いはオートモードにして、どうにか進めているうちに古泉(仮)に呼び出された。
お、なんだ、なんだ。告白か?まだ前半なのに早いな〜
と、思っていたらば、少々違った。先ほど、ゲームの中の「キョン」ちゃんが「女王の卵」とやらの力を証明したことで、古泉(仮)がお堅いことを言い出しやがった。
あ〜、あなたにお仕えしますか〜。いきなり言葉も改められて、俺はちょっとドキリとした。いや、丁寧な口調で喋る古泉(仮)は本物を連想させてくれたものだから。
いや、ちょっと、ちょっとだけだぞ!
ところがさすが、「キョン」ちゃん。びしりと言ってくれたぜ!そうだよな〜仲間にいきなり敬語なんぞ使われたら、疎外感感じるもんな。古泉が使う分には、既に慣れてしまった俺が言うのもなんだがな。
と、そんなこんなと進んでいるうちに、更にまた古泉(仮)の暗い過去が出てきましたよ。
仲間が敵に憑依されちまって、それを古泉(仮)は退治するために切り捨ててしまったらしい。しかも、幼馴染なんだとよ。
あ〜ったく。まいったな…。
その古泉っぽい声で、あんまり思い悩むな…。

俺は、先ほどの暗い気分をまた感じ始めていたので、ここで一旦ゲームを止めた。

……気分転換に古泉にメールでもするかな。