ぶっ生き返す!!


昼休みに古泉の返答を聞きはしなかったが、奴がきちんと部室に顔を見せたので放課後の予定は決まった。
ハルヒは適当にパソコンをいじってインターネットをしており静かだ。たまに何か言い出して、俺はそれに突っ込みを入れる。あいつはそんな時間が嫌いじゃないことを俺は知っていた。朝比奈さんもかわいらしいお姿でお茶を煎れ、長門も無言のまま人が殺せそうな厚い本をすごいスピードで読んでいた。
いつもの空間だ。これがSOS団の主な活動である。
そして俺と古泉は神経衰弱をしていた。奴は定番の笑顔を貼付けて、俺はいつもの仏頂面で。こちら男子部もいつも通りではあったが、覆いに不満だ。見事に昼休みにかいま見せた動揺を納めた古泉が、俺は少し面白くなくない。だから、先程のことを思い出させる為に俺は偶然を装って奴に触れた。さっきまでカタカタ震えていた指先に。
俺は、古泉に対していじめっ子になることを決めたばかりだからな。ほら、動揺しろ。
…結果として、残念ながら古泉の笑みを崩すことはできなかった。目も泳いではおらず、俺に触れられたからといって自ら指先を離すこともなかった。
唯一、いつもと違うところといえば、俺の指先を見る目つきだけだ。無感動に視線をくれて、まるでそこに俺の指などないとでも言わんばかりだった。暗く澱んだような目。
俺はそれを見て、まるで死人のようだと感じた。
おい、どうしたんだよ?昼休みに見せた、あの素の古泉としての泳いだ目はどこにいっちまったんだ?開き直った末の表情にしちゃ、少しあんまりじゃないのか。
古泉の予想外の反応に俺のほうが動揺してしまって気まずい気分を味わっていると、そんな俺に対するようにいつも通りの様子に戻った奴に笑顔で先を促されてしまった。
「どうかなさいましたか?」
「いや…、別に」
くそっ、形勢逆転かよ。今のままでは俺がいじめられっこになってしまう。
俺達がこんなふうに水面下で攻防を繰り返している時、部室内ではハルヒはインターネットでネタ捜し、朝比奈さんは我等が団長に押し付けられたメイドが主人公の漫画を読んでいた。あまりにも些細なやり取りに、この二人が気付くことはない。
ただ一人、長門だけが時折本から目を離して、俺と古泉をじっと見ていたような気がするのは、俺の勘違いだと思いたいね。